管台(ノズル)の計算はどうやってする?
本記事では管台(ノズル)の計算の仕方について解説します。圧力容器の設計の経験のない方でも分かりやすいようにできるだけ簡単に説明しますので、是非ご覧ください。
ノズルに作用する力とは?
「管台」とは「圧力容器の胴、鏡板などに配管、計装品などを接続するために設けた分岐部」のこととされております。(JIS B 0190より引用)一般的には「ノズル」と呼ばれることの方が多い気がしますがJISなどでは基本的に管台と呼称されています。本記事では以後は「ノズル」と記載します。ノズルの一例の図を以下に示します。胴または鏡に取り付ける管のことを「ノズルネック」(または管台壁)といいます。その先端にはフランジなどが設けられ、外部の配管と取り合えるようにすることが多いです。
その設計を行うに当たって考慮しないといけないことはどのようなことでしょうか?まず、ノズルに作用する力について考えてみましょう。真っ先に考え付くのは「内圧」…①でしょう。圧力容器は内部に圧力を保持する容器であるため、その性質上基本的には内部からの圧力を受けます。内圧はノズルネックの内側から外側に作用します。
次に考え得るのは「外圧」…②でしょうか。こちらは内圧とは逆方向に作用する圧力です。ノズルネックの外径側から内側方向へ作用します。
また、ノズルはフランジなどを通じて外部の配管と接続したり、計器が取り付けられたりします。これらから作用される荷重もあります…③。これらの外部荷重によって胴や鏡板が変形するようなことがあってはなりませんので、適切に考慮する必要があります。この検討方法にはWRC107(バイラード(Bijlaard)法)といった手法を用いて検討することができます。
本記事では圧力に対する検討にのみ焦点を絞って解説したいと思います。(上記の①と②)というのも、国内の強制法規で計算書を提出する必要があるのは圧力に対するもののみであり、③のような外部荷重は含まれないためです。(もちろん適切な検討をすることはとても大事です。)
内圧に対する計算の仕方
内径基準、外径基準の使い分けはどちらを基準として作られた管なのかによります。例えば、規格化されている鋼管材などは、スケジュールによりその肉厚が異なりますが外径は同じ呼び径であればすべて統一されています。つまり外径基準で製作されているのです。一方で、板を巻いて製作する管は基本的に内径が指定されています。このような違いを考慮してどちらの式を使用するかを選びます。
なお、規格品の鋼管材を使用する場合は溶接継手効率は1.0として構いません。鋼管材にはTP-S、TP-Aといった種類があり、それぞれシームレス管(溶接継手がないもの)、溶接管(長手方向の溶接継手があるもの)になります。溶接管は長手方向の溶接線があるのに溶接継手効率考慮しなくてもいいのか?と思うかもしれませんが、これはそもそも溶接管の許容応力に溶接効率0.85が考慮されているためです。
外圧に対する計算の仕方
また、圧力容器構造規格や高圧ガス保安法 特定設備検査規則では別の方法も示されており、その計算方法は圧力容器構造規格では第16条の第2項 (イ)に、特定設備設備検査規則では第7条の第2項に規定されています。管の肉厚、外径の比と材料の許容応力からその管の最高使用圧力を計算なしで求めることができる便利なものです。以下に圧力容器構造規格での一例を示します。
![]() |
圧力容器構造規格 第16条 第2項の図より |
以上です。今回のケースでは最高使用圧力は約4.5MPaとなり、これ以下の外圧であれば問題なく使用できることが分かります。
まとめ
|
|
コメント
コメントを投稿