ASMEのEdition, Code Case, Interpretationってなに?他
本記事ではASME (American Society of Mechanical Engineers : 米国機械学会) が発行する規格であるBoiler & Pressure Vessel Code(以下ASME BPVC)に関する様々な用語について、解説したいと思います。
Editionってなに?
Editionとは日本語で「版」のことです。一般の本でも最後の方のページに「第3版」とか「初版」とか書かれていますよね?それと同じでASME BPVCでも版があります。ASMEは1914年に最初のボイラー製造規格として、現在のSection I の一部に相当する部分が発行されました。それから幾度にもわたって改定が行われ、新しい規格の追加や分割・統合を行って現在の形に至りました。ASME BPVCは2011年までは3年に一回改定が行われてきました。そのたびに2011 Edition(版)のように規格が発行されるわけで、ASMEに則って製造を行うにはそのたびに最新版を購入する必要があります。(ちなみにASME BPVCは一冊に収まるようなものではなく、全てをそろえると31冊分にわたるそうです。)なお2013年からは2年に一回、7月に発行されるようになりました。発行されたら直ちに従わないといけない、というわけではなく、発行から6か月間の猶予期間が認められております。猶予期間の経過後は最新版の適用が強制的になります。
Addendaってなに?
Addendaとは日本語で「付録」のことです。現在のEditionから新しいEditionが発行されるまでの間に、Code要求の改訂や追加を広く通知するために年一回発行されていました。これは2011年版までは3年に一回の改訂であり、次の版が発行されるまでに間隔が空くための措置でしたが、2013年版以降は2年に一回の改訂と短い間隔となったためにAddendaの発行は廃止されました。
Code Caseってなに?
Code Caseとは既存の要求事項を明確にするために発行されるものです。既存のCodeで扱われていない新しい材料や構造について、Codeの改訂を待たずに、緊急に規定を作成する必要がある場合に発行されるものや、十分な実績データがないが便宜上特別に規定を設けるためのものがあります。規格を読んだことのある方なら分かるかと思いますが、規格ってとても複雑ですよね。ASMEではその解釈に迷ったりするときは誰でも協会へ問い合わせることができます。その問い合わせの結果、広く周知する必要があるものについてはCode Caseとして発行されます。従来はCode Caseには有効期限がありましたが、2005年に有効期限は撤廃され、規格委員会が削除するまではすべてのCode Caseが有効となりました。Code CaseはCodeの要求の範囲外の分野について規定されているため、正式なASME BPVCの要求とは見なされません。そのため、Code Caseの適用は注意が必要で、必要に応じて製品を設置する管轄行政区域の行政機関などの許可を得る必要があります。また、Code Case Supplimentというものもあります。Supplimentは日本語で「補足」であり、その名の通りCode Caseに改訂が必要となった場合に不定期に発行されます。
Interpretationってなに?
Interpretationとは日本語で「解釈」であり、その名の通りCode及びCode Caseの要求事項の解釈例を示したものです。Interpretationは要求事項の特定の事例(または一般的な事例)について、具体的な解釈を示すものであり、Codeの要求そのものではありません。またInterpretationはあくまでその時点での解釈になります。Interpretationは個別の質問者に対して直接個別に回答されます。さらにそれらはASMEのウェブサイトにも公開されています。Interpretationのうち必要と判断されるものは新しいEditionに盛り込まれることになっています。
AIってなに?
AIというと人工知能が真っ先に思い浮かぶかもしれませんが、ASME BPVCにおけるAIとはAuthorized Inspectorの略であり、日本語で公認検査官と言われます。AIはAIA(Authorized Inspection Agency)公認検査機関と呼ばれるASMEに認められた検査機関に属している検査官です。AIAは具体的にはビューロベリタス、ABS、TÜVなどです。
U Stampってなに?
U StampはASME Section VIII Division 1に適合して設計、製造されたことを証明するスタンプで機器のASME銘板に示すこととされています。米国における圧力容器の設計や製造の基準は大部分の州で州法により規制されています。その基準は州によって異なりますが多くの州では設置する圧力容器がASME規格に適合していることを証明する認定マーク(Certificate Mark)であるASMEスタンプを要求しています。このASMEスタンプは認定を受けた製造者が所持を許されているもので、製作をする前にその能力を有していることを審査・認定される必要があります。なお、Division 2で設計・製作したものはU2 Stamp、Division 3で設計・製作したものはU3 Stampです。なお、U Stampのほかにも識別子は多数あり、全部で26種あります。
まとめ
今回の記事ではASMEに関する用語の意味を解説しました。今回ご紹介したもの以外にもまだまだ様々な用語がございますが、少しずつ解説していけたらと思います。今回の記事が少しでも皆様のお役に立てましたら幸いです。
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