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圧力容器の主な部材について2

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圧力容器の主な部材について、前回は耐圧部材について解説しました。今回は非耐圧部材のうち、外部部品について解説します。非耐圧部材とはその名の通り、圧力がかからない部分です。圧力容器の外側に付くものは外部部品(エクスターナル)、内部に付くものを内部部品(インターナル)と呼ぶこともあります。外部部品の代表的なものとして、サポートラグ、サポートレグ、スカート、サドル、リフティングラグ、テーリングラグ、トラニオン、銘板座、アースラグ、強め輪、保温サポート、プラットフォーム、ラダーなどがあります。外部部品には圧力はかかりませんが、強度を検討する必要があるものが多々あります。またその形状や溶接の仕方などについても規格で細かく決められているものもありますので、設計するにあたってはそれらについて把握しておく必要があります。 ◆耐圧部材についても解説しております。以下を参照ください◆ 圧力容器の主な部材について 圧力容器を支持する部品 圧力容器はコンクリートの基礎の上に置いたり、鉄鋼構造物上に設置されることが一般的です。圧力容器やその中の流体などの重量を支持するだけの強度が最低限必要になります。また、地震がある地域に設置するものは耐震性を、屋外に設置するものは風荷重に対しても耐えられるように設計する必要があります。圧力容器の支持形状の種類としては以下のようなものがあります。 サポートラグ たて型の圧力容器の円筒胴部に設けられます。4点で支持するのが一般的ですが、小型な圧力容器では3点や2点で支持するものもあります。セットボルトで固定し鉄鋼構造物上などに設置します。 サポートレグ たて型の圧力容器に使用されます。レグは脚のことでその名の通り、脚のように圧力容器をサポートします。比較的小型な圧力容器でよく用いられます。脚の本数は4本が一般的ですが3本で支持するものもあります。鉄鋼構造物上にセットボルトで固定したり、コンクリート上にアンカーボルトで固定したりされます。 スカート たて型の圧力容器に使用され、下部の鏡板部に円筒状の胴部を設け、接地面にベースプレートやベースブロックを設けた構造です。スカートの内部にアクセスするためのマンホール、通気用のベントホール、その他ノズル貫通用のノズルオープニングが設けられます。 サドル 横型の圧力容器に使用され、円筒胴部の下側120°以上の部分に設けられ...

フランジの計算の仕方について解説!

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今回の記事ではフランジの計算の仕方を解説いたします。フランジ継手は各国で規格化されており、規格フランジを使用する場合は原則、都度計算を行う必要はありません。一方で、規格外のフランジを用いる場合は必ず計算が必要になります。ではその計算はどのように行えばよいのか、JIS規格に基づいた計算の仕方を経験のない方でも分かりやすいように解説します。 フランジの計算において確認する点は以下になります。 ①ボルトの必要断面積 ②使用状態でフランジに生じる応力 ③ガスケット締付時にフランジに生じる応力 ④フランジの剛性 順番に説明します。 ◆フランジ全般についても解説しております。以下を参照ください◆ フランジ継手とは?規格、形式、座の種類について解説! ボルトの必要断面積の計算 まず使用状態とガスケット締付時のボルト荷重を計算します。 ボルト荷重は以下の式で計算できます。 \displaystyle W_{m1}=H+H_{P}=\frac{\pi}{4}G^{2}P+2\pi bGmP \displaystyle W_{m2}=\pi bGy W_{m1}:使用状態での必要ボルト荷重(N) W_{m2}:ガスケット締付時の必要ボルト荷重(N) H:内圧によってフランジに作用する荷重(N) H_{P}:気密を保つためにガスケットに作用する圧縮力(N) G:ガスケット反力円の直径(mm) m:ガスケット係数 P:内圧(MPa) b:ガスケット座の有効幅(mm) y:ガスケットの最小設計締付圧力(N/mm2) 使用状態での必要ボルト荷重W_{m1}HH_{P}の和です。Hは直径Gの円の断面積に作用する内圧 P がボルトを引っ張る荷重を意味します。H_{P}はガスケットの気密を保つために必要な圧縮力で、ガスケット係数mと内圧Pを掛け合わせた面圧の2倍を、ガスケット座の有効幅bの面に作用させる際の荷重です。図示すると上の図のようになります。内圧がない状態で気密性を保つのに必要な最小の荷重に、内圧分を加算したのがW_{m1}になることがわかるかと思います。 ガスケット締付時の必要ボルト荷重W_{m2}はガスケットがフランジ座面に馴染むために必要な締付圧力を確保するために必要となる荷重です。内径$G...

ガスケットの種類と特徴について解説

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今回はガスケットについて解説します。ガスケットは配管フランジに挟み込んで流体が漏れるのを防ぐシール材です。 ガスケットは主なものとして、ソフトガスケット、セミメタリックガスケット、メタルガスケットの三種類に分けられます。それぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。 ソフトガスケット ソフトガスケットはゴムや樹脂、黒鉛、無機・有機繊維などの非金属材料から構成されます。温度は300℃、圧力は3MPa程度以下の比較的低温・低圧な範囲で用いられます。代表的なのは、ジョイントシート、フッ素樹脂、膨張黒鉛ガスケットです。 ・ジョイントシート:ゴムやガラス繊維、薬品を均一に混合させてシート状にしたものです。内部流体が腐食性や可燃性のない比較的低圧な流体の場合に使用できます。その名の通り、一枚の大きなシートから所定のサイズに切り抜いて成型して用いられます。昭和50年に使用が禁止されるまで、アスベストを含んだジョイントシートガスケットが普通に使用されていたそうです。今では使われることはまずないと思いますが、古い図面などを見るとアスベストを含有したガスケットが結構見られます。ちょっと調べれば各メーカーの相当品が簡単に分かりますので、機器の更新などの際にはそちらを使用すればよいかと思います。 (V/#6500, T/#1995など) ・黒鉛配合ガスケット:黒鉛とPTFEからなるシートガスケットで、耐熱性と耐薬品性に優れます。熱や時間を経ることによる劣化の原因であったゴムを全く使用していないため、増し締めが可能です。酸(高温の濃硫酸、濃硝酸等は除く)、弱アルカリ塩類水溶液や溶剤(アルコール、脂肪族系溶剤)や低温流体にも適用することができます。 (V/#GF300, T/#1155など) ・PTFEガスケット:PTFEでできたガスケットです。耐薬品性に非常に優れます。内部流体の汚染を嫌うプロセス(食品や医薬品など)に使用されることが多いです。PTFEは熱可塑性樹脂(高温下で力が加えられると変形して元に戻らなくなる樹脂)であるため、荷重を受け続けると連続的に形状を変化さ...

フランジ継手とは?規格、形式、座の種類について解説!

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今回の記事ではフランジについて解説します。フランジはプラントなどで配管同士やバルブなどの接続させるのに用いられます。圧力容器は内部に流体を受け入れて圧力を保持させるものです。したがって、圧力容器へ流体を供給するラインとの接続部分が必ず生じます。化学プラントではフランジを利用して接続させることが一般的です。では、そのフランジとはどのようなものなのでしょうか?詳しく解説します! フランジの規格とは? フランジとは右の図のような部材で、円盤形の板状の形状をしており、フランジ同士の間にガスケットやパッキンを挟み込んで、ボルトナットで接合することで配管同士を接続させるものです。フランジは各国で規格化されており、代表的なものは以下のようなものがあります。 ①JIS B 2220 鋼製管フランジ JIS B 2220は日本産業規格による規格でフランジに関するものです。本規格では以下のような内容を定義しています。 ・フランジの型式(SO、WN、LJ、ITなど) ・寸法(呼び径、呼び圧力、型式ごとの寸法) ・温度ー圧力レーティング、など ②ASME/ANSI B16.5 Flange dimensional standard ASME/ANSI B16.5は米国機械学会(ASME)および米国国家規格協会(ANSI)のフランジに関する規格でJISと同様に寸法や温度ー圧力レーティングなどを規定しています。 ③JPI-7S-15 石油工業用フランジ JPI-7S-15は日本石油学会が制定したフランジの規格です。ANSIフランジ(ASME/ANSI B16.5)をベースとして作られており、基本的な寸法は統一されています。  フランジの形式について フランジには様々な形式があり、その用途に応じて使い分けるのが一般的です。どのような形式があるのか、JIS B 2220を元に説明します。 スリップオン(板フランジ)(SOP) 1.0MPa未満の低圧の圧力容器に広く一般に使用されます。開先を設ける必要がなく施工が容易な一方、強度面では劣るため、高温な場面では不適です。 スリップオン(ハブフランジ)(SOH) 板フランジの管挿入部の周りに縁が設けられたフランジです。 ソケッ...